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『THE FINAL LOVE』作者:Evo-s

THE FINAL LOVE

作:Evo-S


〔登場人物〕

・イノン(♀)…女性5人組アイドルグループ“スイッチ”の1人であり、リーダー。

・サツキ(♀)…スイッチの1人。

・アカリ(♀)…スイッチの1人。

・リサコ(♀)…スイッチの1人。

・ミユキ(♀)…スイッチの1人。

・アキラ(♂)…スイッチのファン。

・リョウ(♂)…スイッチのファン。

・カツユキ(♂)…ライブの現場スタッフ。舞台装置のテスターとし身体を張る。

・モリオ(♂)…スイッチのプロデューサー。

・コウヘイ(♂)…警備員。ライブ会場である“ポイポイドーム”の専任者。

・ユウジ(♂)…警備員。コウヘイと同じくポイポイドームの専任者であり、先輩。

・ナレーター(N表記/♀)



〔注意事項〕

・このお話はフィクションです。

・米印はト書きです。読まないでください。

・カッコ内は読んでください。

・この作品は男性6人と女性6人の、合計12人の声劇です。

(兼任も可能ですが、ナレーターのみ単独でお願いします。)



〔STORY〕

サツキ:みんな~!

今日はライブに来てくれてありがと~!


アカリ:次は福川(ふくかわ)県のポイポイドームでライブをするから、忘れずにチェックするんだよ~!!


アカリとの、“お・や・く・そ・く♡”


イノン:ということで。


イノン・サツキ・アカリ・リサコ・ミユキ:“まったね~!!!”

(※歓声のSEがあれば、ここで流す)



N:彼女たちは、今を時めくアイドルグループ“スイッチ”である。

元々はインターネットでの活動をメインとしていたのだが、巷での評判が良いとのことで音楽番組に出演したのを機に表舞台での活動が増えた。彼女たちのライブは非常に人気であり、ファンクラブ内でのチケット争いも壮絶と噂されているほどである。



リサコ:“プログラム=スイッチ!”


リサコ・ミユキ:いぇ~い♪

(※2人で軽い拍手を)


ミユキ:昨日のライブ、皆大盛り上がりで大成功だったね♪


リサコ:ね♪


このまま、次回のライブも大成功させちゃおう!


ミユキ:福川県のファンの皆さん。

ライブ当日に逢えることを楽しみにしています。



N:表舞台が多くなった分インターネット上での活動は少なくなったはものの、一週間に1回は少なくとも更新をしている。その甲斐あってか、動画配信サービスでのチャンネル登録者数は150万人を超えている。



モリオ:いやぁ~、毎度毎度嬉しいね♪本当に♪


スイッチのみんなが人気なのは尚更だけど、スタッフには毎回迷惑をかけてばかりだからね。頭が上がらないよ、本当に。


N:とあるメディアへのインタビューを受けているこの男。彼はプロデューサーのモリオ。褒めるところはとことん褒めて叱るべきことはとことん叱る。保健体育の教師のように熱血ではないが、メンバーやスタッフからは一目置かれる存在である。



コウヘイ:ふぅ~。今日も一日異常なし。


ユウジ:野球だから、まだそこまで問題はないと思うよ?マナーやモラルの強化も徹底させているみたいだし。


コウヘイ:あ、ユウジ先輩!お疲れ様です!!


ユウジ:お疲れ様。


次の我々の警備対象はスイッチのライブだ。

しかも、今回のライブはこれまでのとは違い、我々警備員もライブに巻き込まれる可能性がある。どうやら、警備員巻き込みのライブは音楽業界にせよ演劇業界にせよ史上初めてのことらしい。

特に我々は舞台とファンの間で仕事をすることとなるため、巻き込まれるリスクが非常に高い。覚悟をして臨め。


コウヘイ;覚悟と言っても、どうすれば?


ユウジ:コウヘイ。俺たち、2週間くらい前から謎の踊りを練習しているよな?


コウヘイ:えぇ、はい。とりあえずこれの振りを覚えておけと言われ、動画を見ながら練習して。


ユウジ:少なくとも、その踊りはマスターしておかないといけない。後はその場のノリと勢いで何とかなるだろう。


プロデューサーからもありがたいことに、

“無理して固まらなくていい。一緒に歌ったり手拍子をしたりして相槌をすればいい”

って念押し貰っているから。


コウヘイ:了解です。


では、先に上がりますね。失礼します。


ユウジ:おう!気をつけろよ。



N:そうして、彼は一通のメールを送る。


コウヘイ:…これで、送信!っと。


今日はありがたく早いご帰宅だ。久々に会えるといいんだけど。



N:メールの着信音が鳴る。

送信先からだ。



コウヘイ:お、来た来た。


“コウヘイさん、お疲れ様です。ちょうど、近くのコンビニでお金を卸しているところです。御食事のお誘い、ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします。私のいるコンビニで落ち合いましょう。”


よし!移動開始だ!!



N:それからおよそ5分後、彼女と落ち合うことに成功。


コウヘイ:お待たせしました。


ミユキ:お疲れ様です。


“コウヘイさん?待たせ過ぎですよ??”

(※小悪魔みたいな言い方で)


コウヘイ:大変申し訳ございませんでした。


ミユキ:うふふ♡

“じょ・う・だ・ん♡”


さぁ、行きましょ?


コウヘイ:はい!



N:2人は近くのフレンチレストランへ。


コウヘイ:乾杯♪


ミユキ:乾杯♪


フレンチ料理のお店だなんて、紳士なのですね。


コウヘイ:いえいえ。


先日、職場の上司に誘っていただいた店がこちらでした。お魚料理がおいしいとのことで訪れたのですが、申し分なしの美味しさでありました。

今回はお肉料理を選んだ次第であります。


ミユキ:なるほど。


実は私、お魚料理好きなのですよね。蒸しものや揚げものに、マリネのような生魚の料理。どれでもいけます。



N:料理を食べ進めていくうちに、次回のライブの話に。


コウヘイ:話を変えて。


もう少しでまたライブですね。話しを聞くと、私も巻き込まれるかもとのことですが。


ミユキ:はい!

“巻き添えです♡”(※ウインクするイメージ)


コウヘイ:(やっぱしそうなるか~。)


アハハ。


ミユキ:私、プロデューサーから伺っていますよ?


貴方のパフォーマンスはバックダンサーと同じくらいに素晴らしいと。


コウヘイ:いやいやいやいや。

そんなことないですよ。


何かの見間違いや聞き間違いではないのですか?


ミユキ:そうじゃないみたいですよ?


“期待してま~す♡”


コウヘイ:やれることはやってみます。


N:コウヘイ、赤面。プレッシャーにはかなり弱いようだ。



モリオ:イノンくん。そしてリサコくん。


リサコ:はい。


イノン:要件をお願いします。


モリオ:次回のライブについてだが、アクロバティックな内容を多めにしようと思っている。


イノン:ということは、ダンス多めのプログラムですか?


リサコ:後は、ワイヤーアクションでピーターパンのように!


モリオ:リサコくん。大正解だ。

イノンくんの言うように、ダンスナンバーも通常時よりは多めになる。だが、今回はそっちを重視する。また、他にも床に仕掛けを用意してファンをアっと驚かせるような仕掛けを用意する予定だ。


リサコ:安全対策もキチンとするんですよね?


モリオ:勿論だ。リハ時やそれ以前で装置チェックをする時は現場スタッフに実際に立ってもらって検証をする予定だ。


キミたちが乗るなら、リハの時に1回と本番の時になる。

が、一部装置については本番時のみの対応となる。かなり危険なものを用意しているからだ。その仕掛けに関してはリハ時もスタッフが行うことになるから、それをよく目に焼き付けておくように。


イノン・リサコ:はい。


モリオ:よし。


後は頼んだ。



N:こうして、ライブまでの準備が進められていく。


ファンの期待への高まりも言わずもがな。


アキラ:おいおい、聞いたか?


リョウ:一体何なんだよ?急に。


アキラ:何か、次回のライブはアクションモノになるみたいだぜ?

ワイヤーアクションに下から上に飛び出す仕掛け。他にもいろいろやるらしいぜ?


リョウ:なるほどね。いつものスイッチでは見られないようなアクションを目撃できるってわけね。


アキラ:らしいぜ?



カツユキ:はーい。リフトアップ、お願いします。


(※リフトが上に突きあがる)

“ハッ!!”

(着地!!)


OKです。問題ないですね。



ユウジ:会場の大枠が出来てきたみたいだな。一応、今日の仕事はおわているんだけどね。数日後には、この舞台を護る仕事をしなくちゃいけないから、様子見しておかないとね。



カツユキ:次、ワイヤーアクションお願いs…。


“すみません!そこの警備員さ~ん!!”


ユウジ:(ん?俺か??)


は~い!!何でしょ~??


カツユキ:お忙しいところ申し訳ないんですけど、ワイヤアークションのテスター、ご協力お願いできますか?


警備員にもしていただく予定になっているので、被験者としてお願いします。

事故が起こったら全てこちらでサポートしますので。


ユウジ:(ま、断るわけにもいかないか。後輩君のためにも!)


は~い!お願いしま~す!!



N:急遽、ユウジもさせて頂けることに。


カツユキ:絶叫系のアトラクションは大丈夫ですか?


ユウジ:問題ありません!


カツユキ:ありがとうございます!


“アクション、開始!!”



N:2人を吊ったワイヤーが上昇。


ユウジ:上昇、問題なしかな。


カツユキ:“回転、お願いします!”


N:カツユキ側のワイヤーが会場を反時計回りに周り始め、後を追うようにユウジのワイヤーも回転する。


ユウジ:ヒャッハ~~!!!


N:ワイヤーはそのままエイトクロスを始める。


ぶつかりそうでぶつからない。プロの技だ。


カツユキ:これだけ回せていて接触もなければ問題は無いですね。


ユウジ:私のワイヤーで見れば、劣化や致命傷に繋がりそうな傷も見当たりません。これで問題ないでしょう。


カツユキ:ユウジさん、ありがとうございました。


ユウジ:カツユキさん。こちらこそありがとうございました。

ライブの成功、応援しています。



N:しかし、結果は…。



ミユキ:今宵はありがとうございました。

ご馳走様です。


コウヘイ:いえいえ。喜んでいただけたのなら光栄です。


気をつけて帰ってくださいね。ライブ、楽しみにしています!


ミユキ:はい!ありがとうございます。


おやすみなさい♡


コウヘイ:おやすみなさい。



N:コウヘイの帰宅途中、一本の電話が。


コウヘイ:はい、コウヘイです。


ユウジ:ユウジです、お疲れ様です。


コウヘイ:先輩!お疲れ様です!


ユウジ:さっき、今回のライブの舞台装置のテスターとしてワイヤーアクションをやってみたけど特に問題なかったよ。


コウヘイ:了解です。


…てか、最初から私が担当をするみたいな話しないでくださいよ!!


ユウジ:アハハwww


冗談だよ。


コウヘイ:本当にやめてくださいよ。


ユウジ:スマンスマン。


それじゃ、リハの時にまた。


コウヘイ:はい。お疲れ様です。



N:時間は過ぎて、公式リハーサル当日。


イノン・サツキ・アカリ・リサコ・ミユキ:よろしくお願いいたします!


モリオ:皆。リハーサルだと思わずに、本番同様に挑んでくれ。


カツユキ:プロデューサー。先日の装置テストでは異常は見受けられませんでした。


モリオ:ありがとう。


コウヘイ:これが今回のライブのステージになるのか…。


ユウジ:そうだ。一般的な会場とは全く異なる形だからな。


モリオ:ユウジくん。


ユウジ:それでさ、そn…。


は、はい!プロデューサー!!


モリオ:先日のテストはご協力ありがとう。

どうだった?


ユウジ:はい!生まれて初めてのアクション、楽しませて頂きました!

また、特に問題もなく、装置にも傷や目立った損傷が見受けられなかったのでこのままいけば問題なく追われると思いました。


モリオ:わかった。ありがとう。


それと、きみは誰なんだ?


ユウジ:私の後輩にあたります、“コウヘイ”と申します。


モリオ:コウヘイくん、ね。


警備、よろしく頼むよ。


コウヘイ:はい!お任せください!!



イノン:“ジャーンプっ!”


よし!決まった!


アカリ:リサ!どう?私たち、上手く回るれてる??


リサコ:うん!できているよ!!


イノン:パレードフロートからの景色はこうなるのね。


ミユキ:動ける範囲はやや広めかな?歌いやすいのは間違いなさそう。



コウヘイ:(そうだ!あのフロートに向かって呼びかけてみよう!!)


“お~い!ミユキさ~ん!!イノンさ~ん!!”

(※大きい声を挙げながら手を振る)


イノン:あ!警備員さんが呼んでいるよ!


ミユキ:本当だ!!


“お~い♪コ~ヘ~さ~ん♪”


コウヘイ:(よし!気づいた!!)


“景色はどうですか?!”


ミユキ:“い~感じになりそ~!!”


コウヘイ:“期待してま~す!!”



N:和気藹々(わきあいあい)としながら公式リハーサルが終了。


残るは本番のみ。


アキラ:いよいよ明日だ!


イノンちゃん♪待っていてくれよ!!


リョウ:リサちん♪

明日は、俺が君を迎えに行くからね♪



コウヘイ:ミユキさん。

いよいよ数時間後ですね。


ミユキ:そうですね。

少々不安ですけど。


コウヘイ:貴女なら問題ありません!


“愛しています”


ミユキ:うふふ♡

がんばりますね♪


“私も、愛しています♡”



N:夜が明け、本番。


モリオ:キミたち!後は頼んだよ!!


イノン:はい!


N:気合いの円陣だ。


イノン:“絶対成功させるぞ!”


イノン・サツキ・アカリ・リサコ・ミユキ・モリオ・カツユキ:“オオーー!!”



N:支える側も、気合が入る。


ユウジ:さぁ、俺たちの出番だ。パフォーマンスを任されたら精一杯演じてファンを楽しませるのだ!いいな?


コウヘイ:言われなくても!!

(※2人で拳を突き合わせるイメージ。読売ジャイアンツの原監督を想像すればOK)



N:ライブの始まりである。


アキラ:さぁ!どんな始まり方をするんだ?


リョウ:“来るッ!!”

(※イケボで決めてください!)



N:舞台から飛び出したメンバーたち。


イノン:みんな~!お待たせ~!!


アキラ:イ!イ!イノン!!イ!イ!イノン!!


アカリ:福川県のみんな~!!はっじまっるよ~!!


リサコ:暑さに負けないように、着いてきてね~!!


リョウ:“フォーーーー!!!”


ユウジ:(現在、特に問題は無し。このまま続けばよいのだが…。)


コウヘイ:(悪事は許さん!!)



N:セトリが続き、パーフォーマンスタイムに。


ミユキ:(コウヘイさん♡)


コウヘイ:(ん?誰だ??)


!!

ミユキさん!!


ミユキ:出番ですよ♡


コウヘイ:了解です!!


〈ユウジ先輩、ユウジ先輩。

コウヘイ、パフォーマンス入ります。〉


ユウジ:〈こちらユウジ。了解した。現場は任せろ。〉


コウヘイ:〈お願いします。〉



N:メインともいえるパフォーマンスの時間だ。


サツキ:さぁ、ここからは史上初!警備員もパフォーマンスに参加します!!


ミユキ:コウヘイさん!


コウヘイ:ミユキさん!!


N:先にコウヘイがワイヤーで射出。それを追うように射出するミユキ。


リョウ:おい!あれを見ろ!!


ピーターパンと娘さんじゃねぇか!!


アキラ:あの警備員、なかなかやるなぁ。


歌って踊れるんだもんなぁ。



N:すると突然、、何かの切れる音が。


サツキ:(え?プツン??


嫌な予感がする…。)


ユウジさん。


ユウジ:〈こちら、ユウジ。サツキさんですね?〉


サツキ:はい。今、裏から何か切れるような音がしました。


ユウジ:〈え?まさか?!〉


サツキ:否定できません。


天井の方の警戒をお願いします。


ユウジ〈了解しました。すぐに伝達します。〉



N:“バックは大パニックだった”


カツユキ:ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバヤバイ…!!!

(※焦った感じで読んでください)


モリオ:急にどうした?


カツユキ:ワイヤーが切れそうです…。


モリオ:“何ィ?!”



N:その瞬間。


“プチン”


カツユキ:“ああああああああああああああああーーーーーーーー!!!!”


モリオ:“そんな馬鹿な!!”

(※スローモーションをイメージして読んでください。)


コウヘイ:ん?ワイヤーが。


N:コウヘイ、観客の下に真っ逆さま。


コウヘイ:“ぎゃああああああ~~”


ミユキ:“コウヘイさん!!!!!!!!!”


アキラ:お、おい!!

上を見ろ!!!


N:2度目の、


“プチン”



ミユキ:“キャーーーーーーーーー!!!”

(※大絶叫)


コウヘイ:“ミユキ~~!!!”


(ミユキを守らねば!!!

俺が下敷きに!!!)



ユウジ:“コ~ヘ~~!!!

ミユキさ~~ん!!!!”


リョウ:“もう1人上から来るぞ~~!!!”“



N:幸いなことに、この曲で一旦休憩となった。


だが、鈍い音が会場全体に地味に響く。



コウヘイ:“グヘっ”

(※言葉に表現し難い音を出してください。)


ユウジ:“キャッチ!”


ミユキ:…え??



ユウジ:ミユキさん。


ミユキ:ユウジさん。


コウヘイ:…。

(※息の根が止まりました)



N:何とかミユキのキャッチに成功したユウジ。コウヘイは自らを下敷きとしてミユキの落下の衝撃を抑えようとした。


見事にその作戦が功を奏したコウヘイだったが、この事故の瞬間、ミユキの命と引き換えに再度昇天したのだ。



ミユキ:…。


コウヘイさん…。


ユウジ:コウヘイ…。


N:2人は察していた。



カツユキ:…。


モリオ:コウヘイくん…。



N:裏の2人も。


その後、アキラとリョウの2人の青年のおかげで3人はすぐに病院へ。

2人は何とか意識があったが、彼のことに触れることが出来なかった、


モリオ:ライブは、何とか続けさせる。


後は歌うだけだから何も仕掛けは無い。このまま続行させる。



N:一応ライブの完走には漕ぎ着けた(こぎつけた)ものの、この事故で失った者の対価は計り知れない。



イノン:…。


サツキ:リーダー…。


アカリ:ミユキが助かっただけでも良しとしようよ!

メンバーが助かったのは大きいと思うよ?


サツキ:確かにそうだけどさ!!


人が亡くなったんだよ?!現実逃避でもする気なの?!

冗談じゃない!!!


リサコ:まぁまぁ、まぁまぁ。


気持ちはわからなくはないよ?


サツキ:リーダー、何とか言ってよ…。


イノン:…サツキの気持ちはわからなくはないし、アカリの気持ちもわかる。ミユキが無事で軽傷で済んだ分良しとしてもいいのかも。後遺症もなかったみたいだし。


モリオ:…。

(※静かに泣いています。)


イノン:一番悲しんでいるのはプロデューサーとカツユキさんだよ。


あれだけ安全検査には十分に配慮したのに、それでも事故は避けられないんだよ…。

今回の件で、ポイポイドーム側にも責任が取られるし…。


サツキ:…こ、今回は、


“単なるアクシデント”


ってこと?


イノン:そうならざるを得ないわね…。


リサコ:“ヒューマンエラーって、ゼロにはできないんだね…。”



N:イノンとサツキが静かに頷く。


リサコ:弔いもしないと…。



N:それから数日後、告別式兼お別れの会が挙行された。

メンバーは勿論だが、ユウジ、カツユキと言ったバックの面々。そして、ポイポイドームの従業員も姿を現した。


ミユキも身体の方は回復したようで、弔辞を読むこととなった。


ミユキ:演技の本番中、突然のトラブルがまさか最悪の事態を招いてしまうとは私たち演者側もスタッフ側も予期しておりませんでした。安全対策に抜かりなく、何度も見直しをしたにもかかわらず、お別れを告げることになってしまいました。


2人で宙へと舞った時は、まるで夢の世界でも見ているかのような夢見心地でした。ライブ前の時も何度かお食事に誘っていただいては私のメンタルを気にしつつお声掛けをしていただいて。心身ともに万全の状態で臨んだ結果…。


私を救ってくださって、本当にありがとうございました。ユウジさんとの連携で、こうして私は立つことが出来ています。コウヘイさん。貴方は私のヒーローです。専属のヒーローです。ヒーローは先に旅立たれるというお話を耳にしたことがあります。貴方は実際に私を救出してはまた新たな救出ミッションへと旅立たれたのですね。

今後の救出ミッションのご活躍、期待しております。


“コウヘイさん、心から愛しております。これからも私たち、スイッチのことをよろしくお願いいたします”



N:こうして、彼は数え切れない人に見送られこの世から見送られました。


悲劇の禁断ラブストーリー、これにて幕引きでございます…。



【キーワード】恋愛・事故・12人・男6・女6・Evo-s



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