【登場人物】
香織(かおり)・・・女
母・・・女
祖母・・・女
後輩・・・男
先生・・・男
マネージャー・・・男
【ストーリー】
『決して赤い靴を履いてはいけないよ。』
〘香織(かおり)の声〙
〘幼少期の時…最期に言った、母の言葉。あの言葉の意味を知っていたら…私はこうなることはなかったのだろうか…。これは私の身に起きた出来事。〙
香織『…お母さん、具合どう?』
母『えぇ…。』
香織『…お母さん、私っ…ダンサーにどうしてもなりたい…。ダンサーになってお母さんの病気を治せる治療代を…』
母『香織。…ダンサーは辞めなさい。』
香織『でも私っ…!!』
母『貴女を…あの世界には出したくはないの…。お母さんの最期の願いよ…。』
香織『…お母さん…。』
母『…どうしてもなりたいのなら、【赤い靴】はもう諦めて欲しい…。』
香織『……………わかった。』
母『…いい子ね…。』
〘香織の声〙
〘母は優しい笑みを浮かべながら、母は息を引き取った。けど、私は【嘘】をついてしまった。【赤い靴】の事だ。私は赤い物に異常な執着があった。赤い服、赤い帽子……赤い靴は特に憧れていたものだった。〙
祖母『…香織や。ほんとにそれを履いて行くのかい?』
香織『うん。これを履いてる時が、1番調子がいいの。』
祖母『でもその靴は、履いたらダメだと……。』
香織『私が履きたいんだからいいでしょ!!』
祖母『………わかったよ。』
〘香織の声〙
〘私は大好きな赤い靴を履いて、生まれ育った町を出ていった。そして都会に出てダンサーなるべく頑張って来た。〙
香織『貴女!!どうしてそこを間違えるの!?』
後輩『すみません。すいません。』
香織『なんで貴女がセンターなのかしら!腸が煮えくり返るわ!!』
先生『香織、そこまでにしなさい。あまりにも厳しすぎるぞ。』
香織『先生は黙っててください!!これは私達の問題です!』
先生『…香織、君は今日から来なくていいよ。』
香織『えっ!?どうしてですか!私が厳しすぎるからですか!?』
先生『…とりあえず出ていってくれ。』
〘香織の声〙
〘あんな場所、こっちから辞めてやる。先生は結局、後輩が可愛いのよ…。そういいながらお気に入りの赤い靴を履いて帰る。もう、ボロボロになってきた赤い靴を私は履き続けた。けどある日、悲劇が起きた。〙
香織『…私がセンターですか!?』
マネージャー『そうよ!あの大舞台の主役に選ばれたのよ!』
香織『やった……これで…これで私は…楽になれる!』
〘香織の声〙
〘ようやくセンターを取った。センターを取るために、嫌なことは全てやって来た…それとはもうおさらばよ…そう思っていたのに……。〙
『君が悪いんだっ…君が全て悪いんだ!!俺を俺をこんな気持ちにさせたお前が……!!!』
香織『貴方は誰!?私は貴方のことなんて知らないわ…!!誰かっ、誰か助けて…っ!!?』
〘香織の声〙
〘あの時、母の声に耳を傾けていれば……後輩に優しくしていれば…嫌なことをやらなければ……こんな風にならなかったのかな…?私は赤に染まりながら命を落とす……大好きな紅い色に囲まれるなんて…私は幸せものだわ。〙
Fin
キーワード:シリアス・6人・男3・女3・Natal
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