~登場人物~
♂⤑1
♀⤑1
✰︎宮下 愛美(みやした あみ)(♀)『43』
高校1年生・吹奏楽部・フルート奏者
✰︎篠原 圭(しのはら けい)(♂)『36』
高校3年生・吹奏楽部部長・フルート奏者
『』⤑セリフ数
~記号説明~
(心)⤑心の声
(N)⤑ナレーション
所要時間⤑約10分
【物語START】
宮下 愛美
「もうすぐ卒業式…
…ふぅ、ちゃんと私の想いを伝えるんだ。」
~卒業式当日~
宮下 愛美
「篠原先輩どこかな〜?」
篠原 圭
「あれっ宮下じゃん、3年の教室の前でどうした?
なんか誰かに用でもあるのか?」
宮下 愛美
「あっ篠原先輩!
先輩を探してたんです!」
篠原 圭
「えっ俺?」
宮下 愛美
「はい!
…あ、あの!
今日卒業式が終わった後、部室に来てくれませんか?」
篠原 圭
「えっ吹奏楽部の?」
宮下 愛美
「はい。」
篠原 圭
「いいけどどうした?
何か相談事か?」
宮下 愛美
「いえ、先輩に伝えたい事があって…」
篠原 圭
「…分かった。
んじゃ、卒業式後吹奏楽部の部室な。」
宮下 愛美
「はい、ありがとうございます!」
~篠原と別れ廊下を歩く~
宮下 愛美(心)
〘はぁ、言っちゃった…緊張するな〜。
…ふぅ、頑張れ私。〙
宮下 愛美(N)
『私は宮下 愛美(みやした あみ)。
篠原先輩とは同じ吹奏楽部でよく面倒を見てもらっていた。
1年の私に優しく丁寧に教えてくれる先輩に、いつの間にか恋心を抱いていた。』
~回想~
篠原 圭
「新入生の皆さん初めまして、吹奏楽部部長の篠原 圭(しのはら けい)です。よろしく。」
宮下 愛美(N)
『私は小さい頃からずっとフルートを習っていた。
演奏するのが楽しくて中学校もフルート奏者として吹奏楽部に入っていた。』
篠原 圭
「俺はフルートを担当しています。
新入生の中でフルートをやりたい子はいる?」
宮下 愛美
「あっはい!」
篠原 圭
「おっ君元気がいいね!
名前は?」
宮下 愛美
「宮下 愛美です!
よろしくお願いします!」
篠原 圭
「宮下さん、よろしく!」
宮下 愛美(N)
『この日私と篠原先輩は出会った。』
~別日~
篠原 圭
「宮下さん小さい頃からフルートやってたんだって?」
宮下 愛美
「はいそうですね、5歳の頃からやってました。」
篠原 圭
「どうりで上手いわけだ。」
宮下 愛美
「えっ?」
篠原 圭
「宮下さんのフルートは聴いていてすごく心地の良い音色だね。」
宮下 愛美
「えっあ、ありがとうございます。(照」
篠原 圭
「でもちょっと気になる部分もあったかな。」
宮下 愛美
「気になる部分、ですか?」
篠原 圭
「うん。
じゃあさっき宮下さんがやった曲を俺がやってみるから聴いてて。」
宮下 愛美(N)
『先輩は1つ1つ丁寧に教えてくれた。
言葉だけでなく実際に先輩が演奏して、おかしい所を指摘してくれた。
ただそれだけの事が、私はとても嬉しかった。』
~別日~
宮下 愛美(N)
『月日は経ち10月、全日本吹奏楽コンクール。
私たちは地区大会、都道府県大会、支部大会と勝ち進み見事全国大会に出場する事になった。
ものすごく大きな舞台、緊張でいっぱいだった。』
篠原 圭
「みんな、明日はいよいよ全国大会だ。
緊張するだろうが、あまり気を張り詰めず明日は思いっきり楽しもう!」
宮下 愛美(N)
『緊張していた私は先輩のその言葉に心が救われた。
…そして当日。』
篠原 圭
「みんな、よく頑張った!
今までで1番いい演奏だったよ!
宮下。」
宮下 愛美
「はい!」
篠原 圭
「あんだけ苦戦していたパート、今までで1番上手かったぞ!」
宮下 愛美
「えっほんとですか!?」
篠原 圭
「ああ。
宮下よく頑張ったな。(宮下の頭を撫でる)」
宮下 愛美
「…あ、ありがとうございます。(嬉し涙)」
宮下 愛美(N)
『そして大会の結果発表の日。』
篠原 圭
「…俺たちの学校が金賞…」
宮下 愛美
「篠原先輩、やりましたね!!
…先輩?」
篠原 圭
「やっと…やっと夢が叶った…(グスッ」
宮下 愛美
「先輩…」
篠原 圭
「お前ら、本当にありがとう。(グスッ」
宮下 愛美
「…先輩がいたから、先輩がみんなを引っ張っていってくれたから、金賞をとれたんです。」
篠原 圭
「宮下…ありがとな。(ニコッ」
宮下 愛美(N)
『先輩の一生懸命なところ、みんなを思いやる心。
先輩と関わっていくうちにそんなところに惹かれていった。
でも、告白する勇気がなくて、とうとう先輩の卒業式を迎えてしまった。
もう後はない。
私は意を決して先輩を呼び出した。』
~回想終了~
~卒業式後吹奏楽部部室にて~
宮下 愛美
「はぁ、どうしよう…卒業式終わっちゃったよ…
先輩に告白…ちゃんと出来るかな…
あああ!!不安になってきたー!!」
~部室のドアが開く~
篠原 圭
「宮下ごめん待った?」
宮下 愛美
「あっし、篠原先輩!!
いやっ全然待ってないですよ!!」
篠原 圭
「そう?ならいいんだけど…
あっそう言えば、俺に伝えたい事って何?」
宮下 愛美
「あっつ、伝えたい事なんですけど…」
篠原 圭
「うん。」
宮下 愛美
「そ、そのー。
わ、私、先輩の事が…す、好きなんです!!」
篠原 圭
「えっ?」
宮下 愛美
「1年の私に対して、優しく丁寧に教えてくれるところ、何事にも一生懸命なところ、みんなへの思いやり。
気付いたら先輩の事を好きになっていたんです。
でも、告白をする勇気が出なくて一度諦めようと思いました。
だけど、後悔したくない、後悔するなら先輩に想いを伝えて後悔したい、そう思って今日先輩に私の想いを伝えに来ました。」
篠原 圭
「宮下…ありがとう。
まさか、お前が俺の事をそんな風に思っていたとはな(照
びっくりしたけど、物凄く嬉しい。
…でも、お前の告白は受けられない。」
宮下 愛美
「……」
篠原 圭
「…実はな俺、海外に留学するんだ。」
宮下 愛美
「えっ?」
篠原 圭
「プロのフルート奏者になりたくて、パリに行くんだ。」
宮下 愛美
「パリ…」
篠原 圭
「だから…ごめん。」
宮下 愛美
「……そう、ですか…パリ…遠いですね…
私は、先輩のことずっと、応援してます…
最後に先輩、これだけは言わせて下さい。
先輩のことずっと、ずっと好きでした。
…じゃあ、先輩さようなら。」(全体的に涙を我慢しながら)
~宮下が部室から出ようとする~
篠原 圭
「待って!!」
宮下 愛美
「!!」
篠原 圭
「…ごめん…本当にごめん。
俺、宮下…お前の事が好きだ。」
宮下 愛美
「えっ?」
篠原 圭
「本当は気持ちを隠そうと思った。
でも、お前のそんな顔を見たら、隠すことなんて出来なかった。」
宮下 愛美
「先輩…」
篠原 圭
「宮下、俺はさっき言った通りパリに留学する。
どのぐらい向こうにいるか分からない。
すごく待たせると思う。
…それでも、俺を待っていてくれるか?」
宮下 愛美
「!!
はい…ずっと、ずっと先輩のことを待ってます!!」
篠原 圭
「(微笑む)
宮下、ありがとう。
必ずお前のことを迎えに来るから。」
宮下 愛美
「…はい!」
宮下 愛美(N)
『それから2年後、私は高校の卒業式を迎えていた。
卒業式後、校門の前に見慣れた男性が1人。』
篠原 圭
「宮下、卒業おめでとう。
…迎えに来たぞ。」
END
キーワード:恋愛・学園・先輩・後輩・2人・男1・女1・あれん
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