〔登場人物〕
・崖中知美(がけなかともみ)…女。今作の語り手である。
・梁間時雨(はりましぐれ)…女。ネーテル名義でコスプレイヤーとして活動。
・畑中祐樹(はたなかゆうき)…男。しがない若者で、カメラマン活動をしている。
・畑中雅文(はたなかまさふみ)…男。祐樹の父で、イベントスタッフの1人。
・榎又真由(えのまたまゆ)…女。あゆみん名義でコスプレ活動をしている。時雨とは知り合いである。
・中里拓海(なかさとたくみ)…男。カメラマンをしている。バリスタ名義。
(※N表記ある時は、ナレーションを指してます。)
〔始める前に〕
この作品を、仲良くさせていただいているコスプレイヤー様と以前台本の利用オファーを送っていただいた読み手様に捧げる。
〔注意事項〕
・米印はト書きです。読まないでください。
・カッコ内は読んでください。
・この作品は男性3人女性3人の、合計6人による声劇です。
・この作品はフィクションです。
〔STORY〕
知美(N):これは、今年の夏に私が経験した思い出です。生まれて初めての経験で非常に印象深かったのでここに記(しる)そうと思います。
そう。あれは、たまたま出張の休みで訪れたとある商業施設でのお話。
(※セミの鳴き声と雑踏が聞こえてくる。)
拓海:あゆみ~ん!
そうそう!そのポーズ、決まってるねぇ~!!
(※カメラのシャッター音が聞こえてくる)
真由:バリスタさん、本当にお褒め上手なんですから。そんなに褒めても何も出ませんよ?
拓海:実際に似合っているからべた褒めなんですよ!お世辞抜きで!
真由:そこまで喜んでいただけて、私としても嬉しいです♪
拓海:今日はこれでもう満足かな♪このまま帰宅しても問題ないからねw
真由:まだイベントは始まったばかりですよ♪もう少しいましょ?
拓海:言わずもがな!!
真由・拓海:アハハハwww
知美(N):その日、たまたま訪れた会場でコスプレイベントをしていたそうです。周囲の話を聞く限りでは、今回のイベントが世界的なイベントのようで世界各国からかなり大手の方々が集まっているようでした。
祐樹:あ、あの…。
時雨:はい。
祐樹:撮影させていただいてもよろしいでしょうか?
時雨:はい!喜んで!!
知美:たまたま私のいる近くで撮影が行われるようだったので、少し観察してみることにしました。
祐樹:(このキャラなら、歌っているようなシーンの方が似合うかもな。マイクも持っているようだし。)
では、マイクを持って片方の腕を伸ばす感じで。
時雨:こうですか?
祐樹:そうですそうです!
お!顔を少し傾ける感じも似合ってますよ!カッコいいです!
それで、…。
あ!“キュンです♡”
時雨:“君のハートに、キュンだよ♡”
祐樹:“いただきました!!!”
ゴチになります!
知美:へぇ~、このような感じで撮影をするんだ。カメラマンさんも機材にかなり力を入れているようだし。今目の前のカメラマンさんもカメラ高そうだし。
祐樹:最後に、とっておきのポーズを!
時雨:また、撮影をしてくれるかな?(※キリっ)
知美:(生で撮影をしたいです~♡
私に向けてウインクしないで~♡)
祐樹:ありがとうございました。
時雨:こちらこそです。
そうだ!ツイッターでフォローしませんか?
時雨:しますします。私がコード読み込みますね。
知美:(へぇ~。このようにして連絡先交換をするんだ。)
時雨:あと、塩タブレットどうぞ。この後も頑張ってください!
祐樹:ありがとうございます。私からも、タブレットとクッキーを。
時雨:えぇ?!そんなに豪華なもの…。
祐樹:ささやかではありますが、私からの気持ちです。
時雨:確かに、受け取りました。
知美(N):この後、2人は別れて行動を再開しました。
たった一瞬の物語。別世界に居られる瞬間である。
拓海:すみませ~ん!
時雨:はい。
拓海:撮影、よろしいでしょうか?
時雨:はい!
どこで撮りますか?
雅文(N):コスプレは、何もハロウィンの時だけにすることではありません。やりたい時にやればいい。好きなアニメやゲームのキャラクターに扮することは別に悪いことではないですから。いつもの自分ではない、全く別の自分。完全にそのキャラと同一化するのは不可能でも、少しでも近づけることならできる。被写体になっている方々は日々の研究でより近づける努力をしています。メイクによるものが大概ですが、同じキャラでも衣装によって雰囲気は異なります。
知美(N):今日・明日と連休の私は、先ほどの撮影シーンを自分でも味わいたく、近くのスタッフにどうすればよいかの情報を聞き、すぐさまコンビニでチケットを購入。明日の分も購入してしまいました。
雅文:はい。使用するカメラに関してはレフカメラなりデジカメなりスマホなり何でも構いません。ただし、カメラマンの参加証である青色のタグを一見してすぐに視界に入るようにしていただくようご協力をお願い致します。
知美(N):たまたま出張の時に使うデジカメを持っていた私。スタッフのアドバイスで急いでイベント用に追加のメモリーカードを購入。バッテリーも満タン!
知美:あ、あの…。
真由:はい。
知美:私、こういうイベントに初参加なんです。
…撮影、よろしいですか?
真由:はい!ここだと暑いので少し陰になっているところで。
時雨:あ、あゆみん!
真由:ネ~テル~!
(※銀河鉄道999で鉄郎がメーテルを叫んで言う感じ)
知美:お2人はお知り合いなのですか?
真由:えぇ。
時雨:彼女はあゆみんって言うんだけど、どのコスプレもピカイチばかり。
今回のキャラは、十八番ってわけだね?!
真由:そうね。今回は原点回帰の意も込めて十八番キャラで勝負ってわけ。
よかったら、一緒にどう?このカメラマンさん、イベント自体が生まれて初めての参加みたいなの。
時雨:OK♪
私のことは、ネーテルさんとでも呼んでね。
知美:ポーズは…。
時雨:ここは、私たちに任せて♪
ポーズを色々していくから、撮っていってね♡
真由:今!
知美:はい!
真由:そこ!
知美:はい!(焦)
時雨:焦らなくていいよ。ブレないように気をつければいいから。
知美:こ、こうかなぁ…??
一回見てもらってもいいですか?
真由:どれどれ?
いいじゃないですか!お上手ですよ♡
知美:えへへ♡(照)
時雨:これ、塩タブレット。撮影のお礼です。
知美:あ、ありがとうございます。
真由:ハイチュウって、食べられるかな?
知美:はい、食べられます。
真由:はい、どうぞ♪
知美:ありがとうございます!!
真由:撮った写真は、このスケッチブックのところに送ってね。
時雨:ツイッターやっていたら、教えてほしいな♪
知美(N):こうして、私のコスイベデビューは終わりました。
祐樹:ただいま。
雅文:おう、おかえり。随分と遅かったじゃないか。
祐樹:拓海たちとのアフターに振り回された。
雅文:ハハハwまたかw
祐樹:明日もあるって言うのに狂ってるって…。
雅文:www
明日も早いんだろ?さっさと寝な。俺はもう寝る。
祐樹:親父、了解。おやすみ。
知美:さて、ホテルに到着。
さっきのデータを送らないと。どうやって送るんだろう?
って、ん?ネーテルさんからだ。
時雨:今日は撮影ありがとう。データは、ギガファイル便を使うといいよ♪日数指定は30日がいいな♪よろしく!
知美:なるほど、そのサイトを使うのね。
時雨:お!来た来た!
真由:私にも来たわね。
“データ送信、ありがとう。せっかくだから後でアップロードするね。お楽しみに♪”
雅文:このようにしてイベント後のデータのやり取りもコスイベの醍醐味です。時間は相当かかるかもしれませんが、これもまた良き思い出となります。カメラマンも裏ではかなり苦労をしているのですよ。
知美(N):これが私のこの夏の思い出です。夏の暑さを忘れさせてくれるかのような。いいえ、夏よりもさらに熱く楽しかったです。もしかすると、今回のことをきっかけにしてコスプレ界隈に入るかもしれません。
今回のイベント参加者、そしてスタッフの皆様。お疲れ様でした。
~完~
【キーワード】男3人・女3人・6人
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