top of page

『スティンガー』作者:Natal

【登場人物】

私・・・女


マスター・・・男


【ストーリー】


マスター『お客様…困ります…こんな姿勢は……。』 何故私達が、こんな風になったかって…? それは、約2時間前の事______。 マスター『いらっしゃいませ……おや…。』 この店を知ったのは些細な事。 私は、会社の上司だった旦那と結婚した。 しかしある日、旦那の浮気が発覚し…喧嘩した後、外は大雨なのに外に出た。 旦那が追いかけて来る訳でもなく、1人…寂しく街中を歩いていた。 持って来たのは、スマホと財布だけ。 歩いている最中、町外れにオシャレなBARを見つけた。 私は好奇心に駆られ…店に入った。そう、ただの『好奇心』。 そう、だったはずなんだけど……。 マスター『お客様、お召し物が濡れているじゃありませんか…!』 マスターは、私が店に入ってきた瞬間、慌てたようにタオルを手渡す。 私『ありがとうございます…。お優しいんですね…。』 マスター『いえ…、当然の事をしたまでですよ…。ただ今、暖かいお飲み物をご用意致します…。お好きな席におすわりください。』 そういって、マスターはカウンターに戻って行った。 私は、カウンター席の真ん中に座り…店内を見渡した。 とても豪華…とはまではいかないが、綺麗にされている。 今まで旦那に、BARには行くなとかなんか言われていたから何故か新鮮な気持ちになる。 それに、今日は雨が降ってるから……お客も居ない…。 マスター『お待たせ致しました…』 しばらくして、マスターが暖かいコーヒーみたいなのを出した。 私『…これは…?』 マスター『こちら、【アイリッシュコーヒー】でございます。【角砂糖】の上に【コーヒー】を注ぎ、【ウィスキーで満たした】生クリームを浮かべた。暖かいお酒です。』 私『初めてみました…。でも、お代が……。』 マスター『こちらはサービスさせていただきます。お代は結構です。』 私は、マスターの微笑みに安堵した気持ちになった。 でも、サービスさせてもらったものの、申し訳ないので…他のも頼むことにした。 服がある程度乾いたので、お貸ししてもらったタオルを手渡し マスターに聞いてみる。 私『マスター、おすすめのカクテルが飲んでみたいのですが……。』 マスター『かしこまりました。』 そういうとマスターは、何か作り始める。 カクテルを作っているマスターの真剣な表情は……まるで引き込まれるほどに 美しかった。 マスター『…お待たせ致しました。こちら…【スティンガー】でございます。』 私『ありがとうございます。……うんっ、爽やかですね…。』 マスター『ありがとうございます。』 正直、私はお酒は得意ではない。けど…今日はなにもかも忘れたい気分だし 【今日だけ】なら…いいよね。 こうして、ゆっくりと…いつもと違う優雅な時間を過ごしていた。 しばらくして…その沈黙は、マスターの一言で切られた。 マスター『…お客様は、【スティンガー】の言葉の意味、ご存知ですか…?』 私『どういう意味なんですか?』 マスター『【スティンガー】の意味は…』 そういうと、マスターは、カウンター越しに私の髪を触り……口ずけをする。 マスター『…【危険な香り】という意味ですよ……』 私『……っ!?』 私の心は……まるで媚薬を飲まされたように、熱くなった。 お酒のせいかしら……? マスター『…どう致しましたか?頬が赤いですよ…?』 私『…マスターって、女慣れしてるって言われませんか?』 マスター『そんな事ありませんよ。』 私『そうですか…?』 そういうとマスターは、後片付けを終えて…カウンター席に居る私の隣に座った。 私『お店…いいんですか?』 マスター『大丈夫ですよ。そろそろ閉店時間ですから…。』 マスターに言われ、店内に飾ってある時計を見る。 時間は、真夜中になっていた。 私『…私、そんな時間まで飲んでしまったのね…でも、たまにはこれもいいわ。』 マスター『…結婚、なさってたんですね。私としたら失礼な事を…』 私『…いいんです。どうせ、旦那はどうも思ってないですから…』 マスターは、私の落ち込む姿を見て…申し訳なかったのか 持ち場に戻ろうとした。 けど、何故だろう…。私の身体が勝手に動いて…マスターを押し倒した。 で、今に至るわけ。 私『マスター…私を連れ去ってください…。』 マスター『そんなっ、そんな事できません…!』 私『…私じゃ…ダメですか…?』 マスター『……っ。』 マスターは、上体を起こし…私に口ずけをした。 マスター『私もどうやら…貴女に酔ってしまったようだ……』 2人は再び、口を重ねる。 店内では、私のスマホの着信音だけが響いた……。


Fin


キーワード:恋愛・大人・2人・男1・女1・Natal


【Natalの台本集】→https://writening.net/page?K7rDDA



最新記事

すべて表示

『月下美人の君へ』作者:Natal

[琴音の声] [私は、風俗嬢をやっている。正直、身体を重ね合わせる性的サービスの仕事。] 店長「琴音ちゃーん!お仕事入りましたー。」 琴音「ありがとうございまーす!」 [琴音の声] [私はいわゆる【デリヘル嬢】で、呼ばれたら指定のホテルに向かう。大体はおじ様が多い、私...

『プロポーズシチュボ〜約束〜』作者:くるみゆべし

一人用シチュエーションボイス台本 2分から3分 設 定 : 転勤で遠距離恋愛だった年下彼氏が帰ってきて… ()はアクションイメージです。 ※ ストーリーを崩さない程度のアドリブ追加(甘々なセリフなど…)OKです! * ┈ ┈ ┈ ┈ ┈ ┈ ⋆⸜sᴛᴀʀᴛ⸝⋆ ┈ ┈...

『プロポーズシチュボ〜バラの花束〜』作者:くるみゆべし

一人用シチュエーションボイス台本 3分から5分 設 定 : 彼女の誕生日に高級レストランで食事をした後 ヘリコプターで夜景を堪能し 予約していたホテルへ… ()はアクションイメージです。 ※ ストーリーを崩さない程度のアドリブ追加(甘々なセリフなど…)OKです! *...

Comments


bottom of page