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『エスプレッソ』作者:schön Ton(シェントン)

【登場人物】


男:カフェの店員に想いを寄せる会社員。エスプレッソというRNでラジオにお便りを送る


女:カフェの店員。優しく明るい雰囲気でお客さんからの評判がとても良い。


DJ(鐘原)♂:男が聴いているラジオのDJ。エスプレッソからのお便りにアドバイスをする



【ストーリー】


DJ:「ラジオネーム、エスプレッソさんからいただきました。『最近、気になる異性がいます。その人はいつも仕事の休憩で立ち寄るカフェの店員さんで、一目惚れでした。注文を受ける時の彼女の優しい笑顔、その笑顔を見るために、僕は毎日エスプレッソを飲みにいきます。彼女と仲良くなりたくて話しかけたいと思っているのですが、恥ずかしくてなかなか行動に移せません。どうすれば自然に話しかけることができるでしょうか?』なるほど、いいね!!甘酸っぱいねぇ〜。毎日カフェに通ってるんだ。カフェの店員さんだったら、おすすめのカスタマイズを聞いてみるとかどうだろう?メニューにも詳しくなれるし、次の話のきっかけにもなるんじゃない?それに……あ、この人今日はエスプレッソじゃないんだって、案外気づいてもらえるかもね!エスプレッソさんの恋が実るように応援してるから頑張ってね!また報告、待ってるよぉ〜」


―――――――――――――――――――――――――


男:おすすめのカスタマイズ、か。いつもエスプレッソばかり頼んでいる男が急にカスタマイズなんて気持ち悪がられないだろうか。ラジオに送ったお便りに大好きなDJがせっかく答えてくれた内容も今の自分にはなかなかハードルの高いものだ。けれど……2ヶ月、もう2ヶ月も彼女に話しかけられないままカフェでエスプレッソだけを頼み続けている。このままではダメだ。今日こそは……


女:「いらっしゃいませ!」


男:カフェに行くといつものように彼女が微笑んでくれる。癒される……


女:「いつもの、エスプレッソでよろしいですか?」


男:覚えててくれた!!嬉しいけど、なんだか恥ずかしい……。ついついいつものようにエスプレッソを注文しそうになる。けど……少し勇気を振り絞ってみる。


女:「おすすめのカスタマイズですか?」


男:不思議そうに問い返してくる彼女を見てしくじったかと思った。やっぱり、いつもエスプレッソばかり飲んでる男が突然カスタマイズなんて気持ち悪かったか?


女:「それなら、コーヒーフラッペチーノにエスプレッソの追加などどうですか?今日は暖かいので冷たいフラッペチーノはぴったりだと思いますし、エスプレッソのほろ苦さがフラッペの甘さを抑えてくれるので、甘いのが苦手な方にも好まれてるんですよ!」


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DJ:「『そう言って彼女が勧めてくれたコーヒーフラッペチーノは甘さ控えめでとても優しい味でした。コーヒーについて話す彼女はとても楽しそうでもっと色々教えてほしい、とそう思ったんです。これからもっとカスタム勉強してみようと思います!』おおー!しっかり会話できてるじゃないですか!ナイスですエスプレッソさん!覚えててくれたなんてめちゃくちゃ嬉しいですね!その調子で頑張って!引き続き報告待ってますよ!」


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男:彼女の勧めてくれるカスタマイズはどれも美味しいものばかりだった。もともと甘いものは苦手な俺だったけど、色々なメニューを試してるうちに甘いのもたまには良いと感じるようにすらなった。

何よりの成果は、カスタマイズについて興味を持ったことで、彼女と話す機会が増えたこと。今では注文を取りながら彼女はたわいもない話を振ってくれるようにまでなった。


女:「お兄さん、今日はこれから雨が降るらしいですよ!お帰りの際は気をつけてくださいね!」


女:「昨日は見かけなかったけどお休みだったんですか?お兄さんお休みの時って何してます?私は本読んだりするのが好きで!」


男:コーヒーを待つ間のそのひとときがいつもとても楽しみだった。


女:「お兄さん知ってます?今度駅前に新しいケーキ屋さんできたんですよ!!めちゃくちゃ美味しいって評判で、私も行ってみたいんですけど、まだ行けてなくて。もし行く機会あったら感想聞かせてくださいね!」


男:つい咄嗟に出た自分の言葉に、びっくりした。「一緒に行きます?」だなんて。

それに対して返ってきた彼女の返事にも。


女:「本当にいいんですか?ぜひご一緒したいです!」


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DJ:「『まさかこんな展開になるなんて思ってなかったので、とても緊張しています。でも、これはチャンスだと思うんです!彼女と友達になってきます!!』エスプレッソさんめっちゃくちゃ頑張ってるじゃないですか!!デートですよ、それ!!僕もリスナーさんもエスプレッソさんのお便りいつも楽しみにしてるんですよ?もはやこれが1番楽しみ、なんてメールも来てるし……。それはちょっと複雑ですが。もはや一個のコーナー作れそうですね!」


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男:デートの日。初めて見る彼女の私服姿はなんだか別人のようで、とてもドキドキした。


女:「お兄さんの私服初めて見る!いつもスーツだからなんだか新鮮ですね!」


男:どう反応していいかわからなくてあたふたする俺に、彼女はふふっと笑う。


女:「行きましょうか、お兄さん!」


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女:「うわぁ、このケーキめちゃくちゃ美味しい!いちごジャムの風味が普通のと全然違いますね!私、いちご大好きなんですよ!!」


男:ケーキを頬張りながら目を輝かせる彼女の姿は、小動物みたいで…可愛い。


男:甘いのは苦手な俺だけど、彼女と同じ時間を過ごせるのが嬉しくて、調子に乗って同じケーキを頼んだ。うん、甘すぎる。けど、嫌じゃない。


女:「ところでお兄さん、私お兄さんにずっといいたかったことがあって」


男:少し恥ずかそうに彼女が切り出す。


女:「お兄さんのことずっと気になってたんです!!」


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DJ:「おぉ!ついにきましたよ!皆さんお待ちかねのこのコーナー!「今週のエスプレッソ」!これはデートの報告かぁ?えーっとなになに?『鐘原さん、リスナーの皆さんこんばんは。昨日、例の彼女とのデートに行ってきました。』ほほぅ、やっぱりデート報告だ!『彼女と過ごした時間はいつも以上に楽しく素晴らしいひとときでした。ですが、デートの途中で思いもかけない展開が起きたのです。なんと、彼女から僕のことがずっと気になっていた、と言われたのです!』おおっと?!これはまさか!『一瞬、どういうことなのだろうとドキドキしたのですが、彼女の次の発言でそのドキドキは別の意味に変わりました。「お兄さん、もしかして………エスプレッソさんですか?」』……え?……えぇ?!

『そう、彼女はまさかの鐘ラジのリスナーさんだったんです(笑)』これは……たしかに驚きだねぇ」


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男:初めは、彼女自身何も気がついていなかったらしい。けれど、1リスナーとして楽しく聞いていたエスプレッソのお便りが、最近お店に来るお客さんの行動とあまりにも似ていて、もしかして、と思ったらしいのだ。つまり・・・俺自身の気持ちは彼女に筒抜けだったという訳で・・・そう考えると顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。その後は、2人とも大好きなラジオD J鐘原さんの話題で盛り上がった。この日を境に、俺たちは見事友達、いや・・・同志となった。


――――――――――――――――――――


D J:「『彼女と出会えたのは鐘原さんとこのラジオのおかげです。これからは2人でこのラジオを聞いていきたいと思います。これからも応援しています!』とっても素敵なお便りをありがとう。このラジオがこんな素晴らしい出会いのきっかけになってとても嬉しいよ。これからも報告待ってます!ってことで、今週の放送はいかがだったでしょうか?鐘ラジでは皆さんからのお便りを募集中。来週もこの時間にお会いしましょう。ここまでのお相手は鐘原でした」


Fin



キーワード:恋愛・3人・男2・女1・シェントン

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