〔登場人物〕
・スミヤ(♀)…37歳。マツバ薬局の会社員。従業員。
・ヒジリ(♂)…49歳。マツバ薬局の人事部長。
・キクノ(♀)…21歳。大学3年生。
・アダチ(♂)…17歳。高校2年生。
・N(♂)…アダチと兼任で。
〔注意事項〕
・このお話はフィクションです。
・米印はト書きです。読まないでください。
・米印の無いカッコ内は読んでください。
・このお話に出てくる曲の歌詞は、歌netに掲載されているものを引用しております。
(https://www.uta-net.com/song/8500/)
〔STORY〕
N:私たちは、ふと子供時代の思い出がよみがえってしまう。良き思い出に悪しき思い出。トラウマもそうだ。
しかし、それだけではない。その時の曲や当時の知り合いが口にしていた台詞。何気ない・他愛もない会話が、実は大きくなってその意味や現実を知ってしまうこと。誰だってあるはずだ。
これは、そんな当時の思い出をきっかけに紡がれていく物語である。
スミヤ:今日も無事に仕事が終わったわ♪
最近はフル出勤ばかりで嫌になるばかり。明日も同じだと思うと、何だか憂鬱になるわ。
N:スミヤ。とある小売店の社員である。ここ数週間は休みがなく働きっぱなし。ご苦労様である。
スミヤ:今日も帰路に就くってわけなんだけど…。
N:何やら、少し懐かしい曲が大通りの方から流れてくる。
スミヤ:何やら、懐かしい曲が流れているわね。歌声からして、女性シンガーの曲かしら?どこかで聞いたことがあるんだけど…。
N:一方その頃。
ヒジリ:さて、来月度の要員配置も整ったことだし。帰るとしますか。
“お先に失礼します。”
N:ヒジリ。49歳。とある会社の人事部長を務めている。こちらも、本日の勤務を終えたらしい。車に乗り込む。
ヒジリ:あとは帰るだけなのだが。
ん?何か懐かしい曲をリクエストしたリスナーがいるらしいなぁ。懐かしいアーティストと名が出て来たぞ。
N:カーラジオから流れてきた曲は、スミヤが耳にしていたのと同じであった。
ヒジリ:なに?
“涙の数だけ強くなれるよ”?
“アスファルトに咲く花のように”だぁ??
…何か聞いたことがあるのだが。
N:数日が経った、ある日の駅。
アダチ:あ!キクノ先輩!
キクノ:あら、アダチくんじゃない!
こんなところで会うだなんて奇遇だね。お久しぶり。
アダチ:お久しぶりです。調子はどうですか?
キクノ:いい感じよ。そっちは?
アダチ:まぁまぁ、ってことでw
キクノ:うふふ♡
N:アダチとキクノ。同じ小学校で中学校や高校も同じであった。プライベートで遊びに行くほどの仲であったのだが、最近は行けずじまいであった。
アダチ:先輩。就活の方はどうですか?
キクノ:とっくに終わったわ。マツバ薬局に勤めることになったの。
アダチ:え?!あの大手薬局であるマツバに?
キクノ:そうよ。本当に大変だったんだから。
アダチ:お、
“お疲れ様であります!!!”
キクノ:でね?一ヶ月後かそれくらい後に内定者限定で親睦会のカラオケがあるんだけど、その時に歌う曲を試しに聞いてほしいの。
いいかな?
アダチ:私でよろしければ!是非!!
キクノ:ありがとう!!
N:それから数日後、2人はカラオケで歌のお披露目式を実施した。
アダチ:そういえば、数日後の親睦会で歌う歌って、一体何なのですか?
キクノ:これよ♪
N:スクリーンに映し出されたものは…。
(※曲が流れ始める)
アダチ:(え?!嘘でしょ?!)
キクノ:“涙の数だけ強くなれるよ♪
アスファルトに咲く花のように♪
見るものすべてに怯えないで♪
明日(あした)は来るよ 君のために♪“
N:そう、彼女が披露したのは岡本真夜の“tomorrow”なのである。
アダチ:(なかなかの選曲だなぁ。俺は歌えなくはないけど避けるな。)
N:彼女の歌声に酔いしれたアダチ。
アダチ:先輩、流石です。
それにしても、まさか“tomorrow”を披露するがために私を呼ぶとは。
キクノ:何だか、この曲を1人カラオケで歌うのが恥ずかしくて。
アダチ:確かに、恥ずかしいですねw
確か、先輩が小学校を卒業する年の卒業生を送る会で私たちの代がこの曲でパフォーマンスしましたね。あの踊りは、今思い出すとヤラセ感が酷くてw
笑うしかないですよwww
キクノ:実はね。
あの時の演技と曲が今でもたまに思い出しちゃってね。気づいたら歌えるように練習していたの。それで、無事に覚えられたってわけ。
アダチ:なるほど。
“何だか恥ずかしいなぁ…。”(ポソッ)
キクノ:www
アダチ:せっかくですから、我々のデュエットでもう一度歌いますか。
キクノ:そうね。せっかくですし。
N:こうして、2人は存分にカラオケを楽しんだのであった。
スミヤ:…あら?電話だわ。誰かしら?
N:“電話だ…”
スミヤ:お疲れ様です、スミヤです。
ヒジリ:スミヤくん、お疲れ様。ヒジリだ。
スミヤ:ヒジリ部長、お疲れ様です。ご用件は?
ヒジリ:明後日の親睦会、キミも参加するんだろう?
スミヤ:えぇ、はい。
ヒジリ:キミの歌、期待しているぞ!
N:こうして、親睦会本番。
ヒジリ:スミヤくん。それと、キクノさん。かな?
せっかくだから、デュエットをしてみてはどうだ?
スミヤ:キクノさん、お願いしますね。
キクノ:は、はい…。
(一体どんな曲なのかしら?)
N:リストを見て安心したキクノ。
(※実際にデュエットをしている感じで)
キクノ:“涙の数だけ強くなれるよ♪
アスファルトに咲く花のように♪“
スミヤ:“見るものすべてに怯えないで♪
明日(あした)は来るよ 君のために♪“
ヒジリ:これまた懐かしい曲を歌うもんだ。
(前、ラジオで流れていたのはこの曲だったのか。聞き覚えがあると思ったら。)
キクノ:(よかった!歌える!!)
スミヤ:(この子、なかなかやるわね。)
N:皆さんも、懐かしい曲を追いかけてみてはいかがだろうか?
話のタネになるかもしれないぞ!
アダチ:“明日は来るよ♪ どんな時も♪
明日は来るよ♪ 君のために♪”
Fin
キーワード:青春・5人・男3・女2・Evo-s
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