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『2人の速度で』作者:schön Ton(シェントン)


【登場人物】

葵(♂)・・・学生。少し頼りないところもあるが心優しい男の子。


美羽(♀)・・・学生。葵の幼馴染で彼女。明るく活発だが、少しドジなところもある。照れ屋さん。


【ストーリー】

(街中のざわざわ音) み「葵、お待たせ!待った??」 あ「美羽!あ、いや全然?俺も今来たとこ!」 み「クスッ。本当に?」 あ「なんだよそのいい方!」 み「ここにくる時おばさんにあって聞いたけど、葵、1時間も前に家出たらしいじゃん?」 あ「な!そ、それは!」 み「大体、家隣なんだから、わざわざ別の場所で待ち合わせなんて必要なかったんじゃない?」 あ「い、いいだろ?……付き合って初めてのデートなんだし……その、ほら、いつも通りだと……な?」 み「あ、そ、そうだよね!!デ、デートだもんね……///」 あ「えっと……とりあえず、いこっか」 み「うん」 あN:美羽とは小さい頃からの幼なじみで、まるで家族のように育った。そのせいか、お互いに両想いだとわかり、付き合うようになってからもその距離感は特に変わることもなく……。今日のデートは少しでも恋人らしい距離感を作りたい。そう思って、ずっと準備を重ねてきた。人気のデートスポットを調べて、完璧なデートプランを立てた!……つもりだ。だから、絶対……初デートを成功させる!! み「葵?どうしたの?考え事??」 あ「え!あ、いや、えーと……今日の美羽可愛いなぁって考えてた」 み「ふぇ?!あ、ありがとう?なんか、調子狂うなぁ///……えーと、まずはどこ行くの?」 あ「久しぶりに、映画でも見ようか」 み「映画!!いいね!楽しみ!」 --- 間 --- み「ねぇ!葵!!『名探偵ニャームズの名推理』まだやってるよ!この映画、見たいって言ってたよね??これ見る??」 あ「あー、確かに見たいって言ってたけどさ」 み「ん?あ!!もしかしてもう見ちゃったとか??誘ってよ!」 あ「いや、まだだよ(笑)その、今日はちょっと別に見たいのあって……チケットもう買ってあるんだよね」 み「そうなの?どんなやつ??」 あ「これ」 み「『雨上がりの空に』?これって今話題の恋愛映画?……珍しいね、葵、普段恋愛ものとか見ないのに」 あ「嫌?」 み「ん?そんなことないよ!!葵が見たいなら、これにしよ!!」 あN:正直恋愛ものとか微塵も興味ない。けど、デートっていったらやっぱり王道は恋愛映画だし、もしかしたら美羽と良い雰囲気も期待できるかも……なんて。 --- 間 --- み「めっちゃ面白かったね!!普段恋愛ものとか見ないけど葵のおすすめにして正解だったよ!!」 あ「あー、うん。」 み「特に主人公二人の気持ちがすれ違ってライバルが登場してくるシーンはどうなっちゃうのかなってハラハラしたし、でも想いが通じ合った瞬間がとても感動的で思わず泣いちゃったよ〜」 あN:正直、何が良かったのか全くわからなかった。美羽が楽しんでくれたのはよかったけど…… み「葵?あ……もしかして、期待してたほど面白くなかった??」 あ「え?あ、いや!そんなことない!めっちゃくちゃ面白かった!!」 あN:美羽本人は映画に夢中だし、俺はといえば、眠気に負けて熟睡……美羽に気づかれなくてよかった。 み「本当に?それならいいんだけど……」 あN:デートはまだ始まったばかり、大丈夫。これから頑張ればいい。 --- 間 --- あ「美羽さ、もうすぐ冬だからブーツ探したいって言ってたよね?ここの靴屋寄る?」 み「あ!見たい!」 あ「どんなのがいいの?」 み「うーん、皮のやつとか、シンプルなのがいいなぁ」 あ「こういうモッコモコなやつじゃなくていいの?」 み「やだよ(笑)暑そうだもん」 あ「可愛いと思うけどなぁ」 み「あ、これ可愛い!!」 あ「ん?どれどれ??……ちょっとヒール高すぎない?」 み「そうかなぁ?普通だよ」 あ「お前そそっかしいのに、転んだらどうすんの?」 み「な!別に!!そそっかしくないし!!」 あ「絶対そそっかしいって。……あ、美羽。足元、あぶな……」 み「え?きゃあ!」 あ「危ないって!!(ガシッとか支える効果音入れるとそれっぽい)」 み「ごめん、ありがとう」 あ「ほら!普通の靴でもこれなんだからヒールとか絶対危ない。あ、これとかにすれば?」 み「そうだね……(汗)あ、確かにそれも可愛い……!それにする!」 あ「いや、即決すぎ(笑)」 み「買ってくる!」 あN:……やばい、これじゃいつもと変わらない。せっかくのデートなのに……なんとかして挽回しないと……!! あ「ん?隣の店、アクセサリーショップか……あ、このペンダント……」 あN:美羽に似合いそうだなぁ --- 間 --- み「映画に、ショッピングに、なんか今日は充実してるねぇ〜。楽しっ!あ、葵!!ここのラーメンめっちゃくちゃ美味しいんだって!!お昼ごはんにどう?」 あ「デートにラーメンってお前……(笑)」 み「え?変かなぁ?」 あ「変だろ(笑)実はさ、おれのおすすめの店あるから行ってみよう」 み「おすすめ?なんだろ」 --- 間 --- み「うわぁ!!美味しそうなパンケーキ屋さん!!……本当に葵のおすすめ?」 あ「そうだよ?なんで?」 み「こんなおしゃれなお店、いつもだったら私が誘っても絶対来ない」 あ「そりゃ、こんな周りカップルだらけのお店、恥ずかしいじゃん!!」 み「へー?今日はいいんだ?」 あ「だって、俺らもカップルだし?」 み「あ。そう、だよね!!私たち、カップル……だもんね///」 --- 間 --- あ「あ……」 み「おー!すごい混んでるね!」 あ「ごめん……予約しとけばよかったね」 み「いいよ!それだけ人気なお店ってことでしょ?私ますます楽しみになってきちゃったよ!それに、待ってる間も葵となら、楽しいしね!!」 あ「美羽……そ、そうだな!」 あN:完璧なデートプランを立てようと思ったのに、美羽に気を遣わせちゃって何やってんだ、俺…… --- 間 --- み「カウンターまであるって、ここのお店本当にオシャレだね!」 あ「いや、ごめんな。結局カウンターになっちゃって……」 み「え?いいよいいよ!二人だし、テーブル席もったいないもん!それにカウンターの方が葵と近くに座れるもんね!」 あ「……///それより、美羽は何頼む??」 み「んー、迷うなぁ。この濃厚チーズとストロベリーも気になるし、季節の限定パンケーキも捨てがたいんだよねぇ」 あ「どれどれ?あー、確かに両方お前が好きそうなやつだな」 み「でしょう?」 あ「じゃあ、俺がどっちか一個頼むから、半分こする?」 み「え、でも葵……甘いの苦手じゃん??」 あ「たまには俺だって甘いの食べたい気分な時もあるよ」 み「そんな気分の時、私の記憶にはないけどなぁ?」 あ「いいだろ!!それに、お前甘いの好きだろ?!」 み「……!うん、甘いのめっちゃ好き!!」 --- 間 --- み「美味しそう!!見てみて葵!クリームがいっぱい乗ってる!!」 あ「あ、あぁ、めっちゃ甘そう…(いやそうに)」 み「いただきます!!あーむっ。んん!!めちゃくちゃ美味しい!!これ、スイートポテトのクリームだ!!こっちは?あ、これはマロンだ!!さっすが季節のパンケーキ!!ねえねえ!葵のはどう??美味しい??」 あ「え?あー、うん。……めっちゃ苺」 み「…ねぇ、葵?」 あ「どうした?」 み「今日なんか無理してない?」 あ「無理って?」 み「なんかさ、いつもの葵らしくない」 あ「そんなこと……」 み「私が気づいてないと思った?ずっと一緒にいるんだもん、さすがにわかるよ(笑)」 あ「………」 み「葵さ、今日のために色々考えてくれたんだよね!かっこよくしようと頑張ってる葵、めちゃくちゃ可愛かったよ♡」 あ「な?!か、可愛い?!」 み「でもさ、べつに恋人になったからって無理して恋人っぽくしようとしなくていいんだよ?葵は葵、私は私なんだから!」 あ「美羽……」 あN:もしかしたら俺、付き合い始めたからって焦りすぎてたのかな。 み「私は、ありのままの葵のことを好きになったんだから///」 あ「ありがとう。ごめん、ちょっと空回りしすぎたかも」 み「でも、頑張ってデートプラン考えてくれてたんでしょ?!それはとっても嬉しかったよ!!」 あ「あぁ、もうそれはいいって!!」 み「葵?」 あ「ん?」 み「大好き」 あ「……俺も。ねぇ、美羽」 み「何?」 あ「目つむって?」 み「ふぇ?!ちょ、ちょっと待って葵?!今の話聞いてた?!無理して恋人らしくしなくても……っていうか、さすがにまだそれは心の準備が!!」 あ「え?何想像してんの?顔にまつ毛ついてる。取るから目つぶって?」 み「!?もう!葵の馬鹿!!それなら初めから言ってよ!!……??何やってんの?まつ毛とるんじゃ……」 あ「もう目開けていいよ」 み「一体なんなの?」 あ「窓ガラスでも見てみれば?」 み「え?……あ、これ!ペンダント?可愛い……こんなのいつのまに」 あ「さっき見つけてさ、美羽に似合うと思ったんだ!!」 み「あ、ありがとう……あ、葵……?」 あ「なんだよ(笑)」 み「はい、あーん(恥ずかしさを振り払うような勢いでケーキを一口差し出す)」 あ「ちょ?!何して」 み「何って、半分こ!約束したでしょ??」 あ「いや!自分で食べるって!!流石にそれは恥ずかしい///」 み「いいじゃん!ほら、あーん」 あ「あぁ、もう!わかったよ!!」 み「あーん」 あ「あーん」 み「美味しい??」 あ「甘すぎ(笑)」 み「私にもちょうだい!!」(可能であればここから少しずつ音をフェードアウト) あ「お、おう。ほら、あ、あーん」 み「あーん!へへッ///美味しい!!」

Fin


【キーワード】

恋愛・日常・2人・男1・女1・schön Ton・シェントン



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