top of page

『俺を拾ってくれたのは魔王でした』作品:あれん

~登場人物~ ♂⤑3 ♀⤑1 ✰︎ルシフェル・アートルム(♂)『57』 魔王 ✰︎優斗(♂)『67』 異世界人 ✰︎メイド(♀)『1』 ✰︎勇者(♂)『3』 『』⤑セリフ数 ~記号説明~ (心)⤑心の声 (N)⤑ナレーション 所要時間⤑15〜20分 【物語START】 優斗 「…んん、今何時だ?…あれっスマホが無い。 確か枕元に置いた筈なんだけど…って、ん?ここはどこだ!? 俺、昨日ちゃんと自分の家で寝た筈…だよな…? サークルの飲み会の後、酔った勢いで女の子の家に来ちゃった!?」 ガチャッ(ドアが開く) ルシフェル 「目が覚めたか。」 優斗 「!? だ、誰だ…?」 ルシフェル 「私はルシフェル・アートルム。 魔王だ。」 優斗 「ま、魔王!? な、なんだ?ドッキリか何かか?」 ルシフェル 「ふふっ。元気そうでなによりだ。」 優斗 「…えっとー、本当に魔王…なのか?」 ルシフェル 「私は嘘はつかん。」 優斗 「そ、そうなんすねー。」 優斗(心) 〘ど、どうなってるんだ? やけに豪華な部屋、目の前には魔王と名乗る角の生えた男…夢か…? (自分のほっぺたをつねる)イテテテテ!夢じゃねえ…。〙 ルシフェル 「お主はさっきから何をやっておる。 何かいきなり考え込んだと思えば自分の頬をつねり出して…頭でも打っていたか?」 優斗 「あ、い、いやなんでもない! …えっと、それよりも俺は何故ここで寝てたんだ?」 ルシフェル 「森の中で倒れているお主を見つけてな、このままでは魔物に襲われてしまうと思って城に連れ帰ったんだ。」 優斗 「えっ、あんた、本当に魔王なのか?」 ルシフェル 「魔王だと言っているだろう。」 優斗 「俺の知っている魔王はこんなに優しくない。」 ルシフェル 「なんだ、魔王が優しいとおかしいのか?」 優斗 「そ、そういう訳じゃ…」 ルシフェル 「あっそうだ、風呂の準備が出来ている、先に風呂に入るといい。 着替えは新しいのを置いてあるからそれを着ろ。 で、その後は食事だ。」 優斗 「…本当に魔王、なのか?」 ~お風呂~ 優斗 「ふぅー、生き返るー! やっぱ風呂っていいよなー、落ち…つかない!! なんなんだこの広さは!!広すぎだろ!! 水道代どんだけかかんだよ!!」 ガラッ(お風呂のドアが開く) ルシフェル 「騒がしいな。何か魔物でもでたか?」 優斗 「い、いや出てない…って、なんで裸!?」 ルシフェル 「風呂に入りに来ただけだが。」 優斗 「い、いやなんで俺いる時に来るんだよ!!」 ルシフェル 「ここは私の城だ。 好きな時に風呂に入り好きな時に飯を食う。」 優斗 「う、うぅ。」 ルシフェル 「それよりお主の名を聞いていなかったな。 名はなんと言うんだ?」 優斗 「…優斗。」 ルシフェル 「ユート?変わった名だな。」 優斗 「俺の住んでいるところでは普通の名前だよ。」 ルシフェル 「ふむ。 やはり、ユートは異世界の者なのか?」 優斗 「えっ?」 ルシフェル 「その黒い瞳、この世界には存在しない。 だが、異世界には黒い髪、黒い瞳の人種がいることを本で知った。 ユートの髪の色は金色だから判断しずらかったが、名前を聞いて確信した。」 優斗 「あー、俺髪染めてるからな。」 ルシフェル 「何故だ?」 優斗 「…なめられないように…」 ルシフェル 「は?」 優斗 「他のやつになめられないようにだよ! 高校の時すげえ虐められて、家族に心配ばっか掛けてた…だから、大学では虐められないようにしようとイメチェンしたんだ! 髪は金髪にして、ピアスもあけて、服装も喋り方もガラッと変えた! そしたらなんだ! 虐められないどころか全員俺を怖がって距離をとる! なんなんだよほんとに!」 ルシフェル 「頑張ったんだな。」 優斗 「えっ?」 ルシフェル 「ユート、お主は凄いな。 自分を変えるのは簡単に出来ることではない。 だが、家族に心配をかけぬよう努力したのであろう?」 優斗 「う、うん…」 ルシフェル 「お主がやったことは誇っていいことだ。 よく頑張ったな。」 優斗 「…あ…ぐすっ…ありがとう…ぐすっ」 ルシフェル 「よーし、辛かったな。 泣きたい時は思いっきり泣け! そして思いっきり泣いた後は美味しいものをたらふく食うぞ!」 優斗 「…ぐすっ…ひっく…(泣く)」 ルシフェル 「よしよし。」 ~間~ ルシフェル 「落ち着いたか?」 優斗 「うん。ごめんな…ありがとう。」 ルシフェル 「大丈夫だ。ほら、着替えたら食事だ。」 優斗 「…なあ。」 ルシフェル 「ん?」 優斗 「なんでここまでよくしてくれるんだ?」 ルシフェル 「お主行くところ無いんだろう? そんなやつを放っておけるか?」 優斗 「い、いや… で、でも魔王なのになんで。」 ルシフェル 「みな誤解をしているのだが、魔王は全員冷酷な訳じゃない。 確かに歴代の魔王は冷酷なやつらが多かった…だが、中には私みたいな人間大好きの平和主義者だっているんだ。 私はみなが平和に暮らせるのならそれでいい。 私はこの世界を守っていきたい。」 優斗 「うっ、くすっ、ご、ごめんな…ぐすっ お前…めっちゃいいやつなんだな…ぐすっ 魔王ってだけで……判断して…ぐすっ…悪かった…ぐすっ」 ルシフェル 「お主は涙脆いのだな(笑」 優斗 「う、うるせー…ぐすっ」 ルシフェル 「はっはっはっ!」 優斗(N) 『俺たちは他愛もない話をしながら食事をした。 そして、この世界には勇者がいることを知った。 勇者が魔王を倒そうとしていることも。 俺には理解が出来なかった。 こんなに誰よりも平和を願っている人が何故倒されなければいけないのかと。 それと同時に俺は、ルシフェルを守りたい…そう思った。 そして、月日は流れ3ヶ月後。』 優斗 「なあルシー!」 ルシフェル 「どうした? …って、えっ?」 優斗 「これ見てくれよ!」 ルシフェル 「ユ、ユート、こいつどうしたんだ…?」 優斗 「散歩してたらなんか着いてきたんだ! なあ、飼ってもいいか?」 ルシフェル 「おい、こんな大きなドラゴン、どうやったらこんなに懐くんだ!?」 優斗 「散歩中に目が合ったからニコって笑ったんだ。 そしたら着いてきた。」 ルシフェル 「それだけで!? …もしかして、一目惚れされたんじゃ…」 優斗 「一目惚れ…なんか照れるな…」 ルシフェル 「あ?」 優斗 「ルシー!なんで魔法発動させてんの! そしてなんでドラゴンに向けてんの!」 ルシフェル 「なんかムカついたから。」 優斗 「ストップストップストーーーップ!!」 優斗(N) 『ルシーは最近こんな調子だ。 気が付いたらすぐ隣にいるし、良く頭を撫でハグもして、そして俺に少しでも好意をもった相手には容赦ない。』 優斗 「お前俺の事絶対好きだろ…なんてな。」 ルシフェル 「ああ、好きだぞ。」 優斗 「は?」 ルシフェル 「私は一目見た時からユートの事が好きだった。」 優斗 「な、ななななな!」 ルシフェル 「愛してる。(ちゅっ)」 優斗 「なっ!!!」 メイド 「魔王様!勇者が!勇者一行が城に攻め込んできました!!」 ルシフェル 「分かった、今すぐ行く。 ユート、安全な所へ隠れておけ。」 優斗 「お、おう…」 優斗(心) 〘で、ででででででこにちゅ、ちゅーされたあああ!! えっな、なんでだ!?俺男だぞ!? で、でも…嫌じゃ…ない…なんなんだこの気持ちは… ってか勇者って言ってたよな? ルシー大丈夫かな?〙 優斗 「と、とにかく安全なところに避難しないと。 ルシーに心配かけたくないし…」 ~移動~ 優斗 「はぁ、はぁ、ここなら大丈夫かな? …ルシー…どうか、無事でいてくれ…」 ドガーーン!!(王座の間から爆発音) 優斗 「この爆発音…王座の間の方から…!? ルシーが危ない!!」 (王座の間にて) 勇者 「はあ、はあ、はあ…魔王、これで終わりだ!!」 ルシフェル 「…ははっ、私もここまでか… …ここで死ぬなら…唇にしておけば良かったな…」 優斗 「ルシーーー!!」 勇者 「な!?」 ルシフェル 「…ユート…安全な所へ隠れておけと…言っただろ…何故…」 優斗 「ルシーが危ないと思ったらじっとしていられなくて…。」 勇者 「お前人間だろ!?何故魔王と共にいる! ま、まさか魔王に囚われて…」 優斗 「違う!! ルシーは凄く優しいんだ! 召喚されて森で倒れている俺を助けてくれた。 争いごとを嫌い、世界の平和を望む、とっても優しい魔王なんだ!! だから俺は、俺は…ルシーを…ルシフェル・アートルムを守るって決めたんだ!!」 ルシフェル 「ユート…ははっ、お主そんなことを決めておったのか… 私は嬉しいぞ…」 優斗 「ルシーもう喋らなくていいから! …俺が守るから…絶対守るから!(涙を堪えながら)」 ルシフェル 「…ユート…私はもう…もちそうにない…」 優斗 「!?」 ルシフェル 「だから1つ…願いを聞いてくれ…」 優斗 「えっルシー…何言ってるの? 死んじゃ嫌だよ!!」 ルシフェル 「なあ、お願いだ…」 優斗 「…うぅ…ぐすっ…お願いって…なんだ…?」 ルシフェル 「お主の気持ちを知りたい…」 優斗 「えっ俺の…?」 ルシフェル 「私はお主が好きだ…心の底から愛してる… ユートは…私のこと、どう思っているのだ…?」 優斗 「俺は…俺は…! 好きとか正直分からねえ…でも、でも! ルシーを失いたくない…ルシーとずっと一緒にいたい! だから…だから…死なないでくれよ!!」 ルシフェル 「…ははっ、ありがとう。」 優斗 「…ルシー…」 優斗(N) 『ルシーが俺を優しく抱きしめる。 その後、後ろから大きな爆発音が。 …ん?後ろから?』 優斗 「……えっ? これは?勇者は?えっ?」 ルシフェル 「私が吹き飛ばした。」 優斗 「えっ、えええええ!?!? さ、さっきまでぐったりしてたじゃん! もうすぐで死にそうだったじゃん! なんでピンピンしてんの!?」 ルシフェル 「ユートは私に死んで欲しかったのか?」 優斗 「違ぇよ! 俺はルシーが生きててほんとに嬉しいんだよ! …って、言わせんな恥ずかしいな!」 ルシフェル 「はははっ可愛いな(笑」 優斗 「からかうんじゃねえ!!」 ルシフェル 「すまない。じゃあお詫びのしるしに。(ちゅっ)」 優斗 「…く、くくくくく口!?」 ルシフェル 「はははっ、ほんと可愛いな。」 優斗 「笑うな!」 ルシフェル 「なあ。」 優斗 「な、なんだよ。」 ルシフェル 「ユートからのあつ〜いキスはないのか?」 優斗 「なっ!ね、ねえよ!ばーか!!」 優斗(N) 『ルシーは勇者を吹き飛ばし、魔王城には再び平和が訪れた。 俺はルシーは悪いやつではないことをみんなに知ってもらう為、活動を始めた。 すると、興味を持ってくれた人達が集まり、魔王城へ遊びに来るようになった。 ルシーは以前よりも明るくなり毎日が楽しそうだ。 俺もルシーのお陰で毎日が楽しい。 俺はこれからもずっと、ルシーを支えていこうと思う。』 ~間~ ルシフェル 「あーあ、今回の人間も簡単だったなー。 簡単すぎてつまらん。 あいつはもう…用済みだな。 また異世界から新しい人間を呼ぶか。」 END



キーワード:ファンタジー・BL・4人・男3・女1・あれん

最新記事

すべて表示

『魔物集うダンスパーティ〜仲を取り持つタルトタウン〜』作者:夕霧

【登場人物】 ○オリバー 物腰柔らかいヴァンパイア お菓子作りが趣味で毎年ハロウィンの日に開かれる「魔物だけのダンスパーティ」に手作りお菓子を持参している ○メアリー ダンピール(ヴァンパイアと人間のハーフ)の女性 お菓子作りにおいて右に出るものはいないと言い張るパティシエール オリバーを勝手にライバル視している 【ストーリー】 ウィル・オー・ウィプスのダンスホール オリバー「黒で統一されたダンス

『記憶喪失令嬢と婚約破棄戦略』作者:Natal

[愛恋(あれん)の声] [皆さん、ごきげんよう。愛恋ことアレーナ嬢です。あれから大分の月日が経ち、この度…レアン様と…無事 婚約解s((←] レアン「解消しないからな?言っとくけど。」 愛恋「なんでですか!?あんなに署名運動までしたのに!!」 レアン「署名運動でも、ほとんどアレーナ嬢の知り合った方ばかりじゃないですか。」 愛恋「ガーン!!」 レアン「口で言うやつ、初めて見たよ。と

『ゾンビ街のバーガー屋さん』作者:Natal

[ナレーターの声] [昔、世界はゾンビ一色になっていた。しかし!!ある1人の科学者のせいで、世界のゾンビ達が変異していった!…そして現在。] キャリー「はい、こちら人肉バーガーです。ご注文どうぞー。」 ゾンビ①「…肉……ナマ…くれ…。」 キャリー「かしこまりました!Low(ロー)ですね! 料金はお持ちでしょうか?」 ゾンビ①「…これで、いい…?」 キャリー「はい、大丈夫ですよー!はい、人肉バーガー

bottom of page