『君は誰だい…?』
私は、ふと顔を上げて…大木の木に登っていた青年を見つめる。
彼の服は、とても古びたしい服装をしていた。私と大違い。
そんな彼を見て、私は微笑む。
彼に名前を聞かれた。私は、微笑みながら自分の名前を言う。
もう…呼ばれることはないだろう私の名前を。
すると彼は、私を…【お嫁さんにしたいぐらい綺麗だ】と言ってくれた。
私は『ありがとう。そう言ってくれたのは貴方だけよ。』と言った。
嬉しかった。心の底から……。
いっその事、この場から連れ去って欲しかった……。
私は、宮廷の皇女…そんな事は許されない。
数日後には、火神の【花嫁】として連れていかれる身。
そして…
ついにその日がやって来た。
私は純白と真紅の組み合わされた唐服と髪飾りを身につける。
私の両側には、兵士たちが並んでいる。
宮廷のもんが開き、人々が私を見つめている。その中に【彼】は居た。
彼の表情は、悲しげな表情をしていた。
私は、彼を見つめ……【ありがとう】と言った。
彼には、どう伝わったのかは…数百年過ぎた今には分からない。
【人間の彼】と違って…私は昔と容姿は変わっていない。むしろ変われないのだ。
無闇に死ぬことすら出来ない。
もし、安らかに死ねるのであれば…もう一度…
『私が、火神様との間に子供が出来て、孫も居るって言ったら…彼…驚くかな?』
…貴方に会って、お礼がしたいな。
Fin
キーワード:シリアス・ファンタジー・1人・女1
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