むかしむかし、とある洞窟に…1匹の孤独な竜が居りました。
その竜は、仲間に嫌われた存在でした。
その竜の鱗は、暗闇のような色をしていて、瞳は黄金に満ちた色をしていました。
黒い竜は思いました。
『この世など無くなってしまえ。』と……。
ある日の事、洞窟から1人の魔女が現れました。
魔女は言いました。
『貴方のその角を、私にくださいませんか?』
黒い竜は、どうせ自分を殺す為の口実だと思い、口を開きませんでした。
その後も魔女は、何度も何度も黒い竜の所に来ては、『角をくださいませんか?』と問いました。
痺れを切らした黒い竜は、魔女にこう言いました。
『分かった。そんなに欲しいならくれてやろう。その代わり…』
魔女は黒い竜の条件を飲む事にしました。
それからというもの、魔女は寝る間も惜しみながら【ある薬】を
作っては、黒い竜に飲ませました。
黒い竜も、魔女の様子を観察しながらも…餌を分け与えなどをしました。
黒い竜は、少しながらも寂しい思いは無くなっていきました。
そして、ある朝梅雨が晴れた頃。
魔女は目を覚ましました。目の前には知らない人物が立っていました。
黒髪の長髪に、吸い込まれるような黄金の瞳……。
魔女は最初は警戒をしましたが、ある所を見てはっとします。
それは鋭くも黒く光り輝く角でした。
魔女は、問います。
『もしかして、貴方は…あの黒い竜ですか?』
黒髪の長髪の男は答えました。
『そうだ。お前が昨夜に飲ませた薬で…私は人間になれた。』
魔女の薬は、成功したのだ。
黒髪の長髪の男は自分の角を渡し言いました。
『これがお前が望んでいた物だ。受け取るといい。』
魔女は、それを受け取るとその場から去っていきました。
…黒い竜だった男は、また孤独になりました。
その後どうなったかは、だれにも分かりません。
end
【キーワード】ファンタジー・1人・不問・Natal
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