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『世界は正直どうでもいいが、推しが消えるのは見過ごせん!』作者:schön Ton(シェントン)

【登場人物】

A(一人称私、もしくは俺)……世界を救うために抜擢された勇者、しかし、本人は引きこもりニート。声優オタクでゲーオタ。こいつ、世界救う気あるのか?というくらい好きなこと以外の周りに関心がない。


B……勇者の友人。やる気のない勇者に仕事をさせるために政府から使命を与えられた。


ほみゅ・・・Aが最推している声優。


N:誰でも可。(セリフ数的にほみゅが好ましい)


※Aとほみゅは男女変えても良い。セリフも多少変更あり。


【ストーリー】


N:20○×年、世界をどよめかせるニュースが流れた。


あと一年で突如現れた謎の生物、通称「魔王」によって世界は滅ぼされると……


それを救うべく、世界は「勇者」という存在を抜擢した。


勇者は仲間と共に立ち上がり、修行を重ね、魔王を討伐……大体こんなシナリオが一般的だろうか?

この場合、勇者に選ばれるのは大抵、何か特別な力を持った人間だとか、熱血少年だとか、勇敢な心の持ち主だとか、優しさ溢れる少女だったりだとか……そんなところだろうか?


だがしかし、世界は何を間違えたのか、とんでもない人物を勇者に抜擢した。

それが……Aだった。


B「なぁ、A」

A「なによ、B」

B「お前さ、いつになったら世界を救いに行くわけ?」

A「は?行くわけないじゃん。なんで私がそんな面倒なことしなきゃいけないわけ?」

B「なんでって……政府からお前が勇者として抜擢されちゃったからに決まってるだろ?!本当、よりによってなんでお前なんかが……」

A「いや、知らないし、そんなの私に関係ないし」

B「あのなぁ、お前が動かなかったら誰が世界を救うわけ?世界滅びるぞ?」

A「いいよ?滅びるなら滅びるで。私、世界に未練とかないし、むしろ滅びるなら滅びるその瞬間まで引きこもって推し事してたいし」

B「お前クズだな」

A「ほっとけ」

B「てか、推し事って……世界滅びたら推しも滅びるんだぞ?推しの成長見れないぞ?」

A「え……ってことは、スパークリングスの新作アルバムも?」

B「ない」

A「ハマってるアニメの先の展開は?」

B「見れないだろうなぁ」

A「ゲームの最新作は?!」

B「買えるわけないだろ?世界滅びるんだから」

A「はあぁぁぁぁぁぁぁ?!んなこと許すわけないじゃん?!何て事しようとしてくれてんの魔王!!ぶちのめす!」

B「あ、やっとやる気になった」

A「推しがいない世界なんぞ、絶対認めるものか!!私が推しを守る!!」


N:世界の命運は、一人の引きこもりオタクニートに委ねられた。


A「んで、世界を救うのはいいとして、私は一体どーすれば良いわけ?」

B 「そもそもお前、今の外の状況知ってんの?」

A「知るわけないじゃん、外なんて滅多に出ないし」

B「だよなぁ。とりあえず、一回出てみてみろよ」

A「え、やだよ。なんで外に出なきゃいけないわけ?めんどくさい」

B「は?!お前さっき推しを救うって言ってただろ?!外に出ないでどうやって魔王を倒しに行くんだよ!!」

A「えー、なんかさ、あれじゃないの?世界を滅ぼすってさ、遠隔操作とかで、人工衛星落としてバーン、とか。んで、それ防ぐために、VR世界潜って魔族と称される悪いウィルス倒してくー、みたいな?」

B「お前、それどっかしらのデスゲームから影響受けてんだろ。VR世界で奮闘したところで世界救えるかよ!どこのS○Oだよ!」

A「なんだ、違うのか。ちょっと憧れてたんだけどなぁ」

B「お前は一回現実を見ろ!!」


シャッッッ(カーテンを開ける音)

ガラガラ(窓を開ける音)


A「ちょっ?!B?!何してくれてんの?!陽の光なんて入れたら、私蒸発して消えるよ?!」

B「うるせぇ、引きこもりニートが。お前は吸血鬼かなんかなのか?あぁ?って、そうじゃなくて、外を見ろ外を」

A「もう、ガミガミガミガミなんなのさぁー、わかったわよー………え………」


N:そこには、あり得ない世界が広がっていたのだ


B「な?やばいだろ」

A「やばいって……いうか、え?私頭おかしくなったの?現実世界に……現実世界にいるわけないじゃん!スライム?ゴブリン?!ありえない!!」

B「S○Oの世界だって大概だったけどな」

A「でもあれは二次元に潜るわけだから、不可能じゃ無いじゃん?でもこれは非現実的すぎる!!」

B「意外だな。不謹慎に大喜びするかと思ったわ」

A「大喜び?なんで」

B「憧れの世界が現実に!!って」

A「流石の私もそれはないわ。てか何?私こいつら倒さなきゃなの?」

B「まあ、そういうことだわな」

A「こんなのどうやって倒せっていうのさ!!剣とか弓とかあるわけじゃ無いじゃん?何?修学旅行で買った木刀?それともフライパン?」

B「フライパンは絶対ない。でもまあ、木刀はありなんじゃないか?ないよりはな」

A「ムーーーリーーーー!!!やっぱりやめやめ!!」

B「推しはいいのか?」

A「良くないけど!!!でも無理なもんは無理!みんな死ぬときは一緒」

B「仕方ないなぁ。ちょっと待ってろ」

A「え?B?どこ行ん?」


N:ーーー10分後ーーー


A「いや、戻ってこなくね?おっそいな。・・・・・・あっ!!待って嘘!!え!!ほみゅが配信始めた!?行かなくちゃ!!!」


ほ『みんなこんばんは!!唐突に配信始めちゃってごめんね!なんか最近世界が大変なことになっちゃったからさ。いつか伝えられなくなるその前に、大好きなみんなに伝えたいことがあって・・・』


A「ほみゅが私達に伝えたいこと?なんだろ・・・」


ほ『みんないつも俺のことを応援してくれてありがとう!みんなの応援が、好きって言葉が、俺の力になってるし、俺もみんなのこと大好きだよ。・・・』


A「ほみゅ!!!あーーー!!相変わらずかっこいい!!私も大好きだよぉぉぉぉぉ!!!!」


ほ『って、そんなことは聞き飽きたかな?でもね、みんなにこれだけ支えられているのに・・・俺は・・・俺は残念ながら世界を救うことができない。みんなのことを助けることができないんだ。声優はなんでもなれる、なんでもできる。でもそれはアニメとか、作品の中だけ。』


A「・・・そんな、そんな悲しいこと言わないでよ!!私達はこれだけほみゅに支えられてるのに・・・作品の中だけじゃないよ・・・ほみゅは私達ファンを救ってくれてる!!」


ほ『俺は、みんなともっと楽しみたいし、世界が終わるなんて嫌だ!!だから、今の俺にできることは、世界が決めた勇者を応援することだけなんだ!この想いが勇者に届くかはわからない・・・でも、もしどこかでこの想いが伝わるのなら・・・お願いです!どうかこの世界を救ってください!!みんなもどうか、俺に使ってくれる応援のパワーを、勇者さんに・・・この世界を救えるその人に託そう・・・。』


B「だってさ、どーする?最推し直々の願いだけど?」


A「おいB・・・お前」


B「なに?」


A「今までどこ行ってた?」


B「どこって・・・ちょっと電話しに」


A「やっぱりお前かぁぁぁぁぁ!!!!お前、政府から監視役頼まれたそうだもんな?こんくらいのことできるよな???推しを使ってくるなんて汚ねえぞ!!」


B「何のことだか」


A「ってか、どーやってほみゅに連絡とったのさ!!ズルすぎる!!お前絶対許さねぇかんな!!」


B「こっわ。まあまあ、そんなことより、どーすんのさ。推しを救うの?救わないの?」


A「・・・・・・・そんなの、そんなの!!!救うに決まってんだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


N:こうして、勇者Aの世界を救う冒険が始まったのである。先生の次回作にご期待ください。


B「って!!!ふざけんな!終わる気満々じゃねえか!」


A「へ?」


B「へ?じゃねえよ!世界救いに行けぇぇぇ!!!」


N:この勇者の冒険は、いや、Bの勇者の監視役は前途多難である。


Fin


キーワード:ファンタジー・コメディ・3人・男2・女1・男1・女2・schön Ton・シェントン


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