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『Blue Moon(ブルームーン)』作者:Natal

【登場人物】

龍也(たつや)・・・男


香織(かおり)・・・女


【ストーリー】


[龍也(たつや)の声]

[静かな夜空を見ながら、夜道を歩いていく。また2度目の夏がやってくる。これは…彼女との【冬】での出来事…。]



香織『…ねぇ、龍也…。私、この冬は好きだけど、夏は嫌い。』


龍也『なんで?』


香織『だって暑苦しいじゃない。だから嫌。冬は寄り添い合えるから好き。』


龍也『…さっきまで、2人で暑苦しい事してたのに?』


香織『それとさっきの話は違うでしょう?』


龍也『香織ちゃん、君はこんな事して…嫌じゃないの?』


香織『ダンサーだけじゃ、稼げないからやってるのよ。あんたが好きでやってる訳じゃない。』



[龍也の声]

[彼女の名は、香織。訳ありで風俗で働いてる。俺はその客なんだけど…

何故か親近感が出て、こうしてタメ口で話している。]



龍也『…はい、今月分。』


香織『いつもご贔屓にー。じゃあね。』


龍也『待って。』


香織『…なに?』


龍也『…その靴、ボロボロだよ…?新しいの買わないの?』


香織『…この靴は思入れがあるから。当分替えないかな。』


龍也『…そっか。』


香織『じゃあね。ご利用ありがとうございました。』



[龍也の声]

[それが、俺が見た…彼女の最後だった。彼女は、殺されてしまった。…なんでこんなに悲しんだろう。ただの【風俗嬢】と【利用客】じゃないか。]



龍也『……香織、君が嫌いだった【夏】が来たよ。』



[龍也の声]

[夜道を歩きながら、夜風に吹かれる。

今でも忘れたりはしない。君の声、吐息、あの時の表情……。俺は密かに、君に恋をしていたのかもしれない。]



龍也『…君の言った通りだ。夏は【暑苦しい】。』



[龍也の声]

[そうして俺は、片手に持っていた水を飲み干した。]


Fin


キーワード:ミステリー・2人・男1・女1・Natal


【Natalの台本集】→https://writening.net/page?K7rDDA

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